雨の週末には本を読もう
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この作家の唯一の探偵小説らしい。こんな古い本が、どういうわけか、本屋に平積してあったので、目について買って読んでみた。
ある地方都市に赴任してきた警察署長。40か41歳くらい、太って鈍重で、署でも官舎でもぐうぐう寝てばかりで、付いたあだ名が「寝ぼけ署長」。しかし、その在任期間には不思議に犯罪事件が少なくて、他県への転任が決まったときには市民から留任陳情のデモが起った・・・。 「署長が人間味あふれる方法で解決する10事件。
群馬県の寒村を襲った謎の連続殺人、というので、舞台が群馬じゃあということで読んでみたが、よく言えばスケールが大きいということなのだろうが、悪く言えば荒唐無稽で、自分にとってはあまり面白くなかった。あまり品もないし・・・。
数年前に読んだことがあるので、二度目。戦後混乱期から10数年を経ったときに書かれた作品。
「かなり教養もあり、学校も出たお嬢さんがアメリカ兵のオンリーになったという話は、ずいぶん聞きましたよ。あれから13年も経った現在、当時20歳ぐらいの彼女は、どうしているでしょうね?」
「あんがい、立派な家庭におさまっている方が多いんじゃないかと思いますわ、~自分を取り戻して、今は立派にやっている人も多いと思うんです。」
「当時は敗戦直後で悪夢のような時代ですから、その人たちにとって気の毒なことです。でも、でも自分の努力で、あとの生活がつくられていたら、その幸福を、そっと守ってあげたい気がします。」
同名のNHK番組が、文庫になった。昭和の著名人へのインタビュー集。
三島由紀夫、湯川秀樹、植村直己、土光敏夫、栃錦清隆、井伏鱒二、西岡常一、宇野千代、武満徹、星野道夫、淀川長治、東山魁夷、盛田昭夫、小倉遊亀、柳家小さん、吉村昭、岸田今日子、阿久悠 ほか。
皆、その分野の第一線でやってきた人達。自然体だが、力強く、芯を持って生きる姿勢は共通していると思った。
久しぶりに浅見光彦シリーズを読んだ。
秋田県が出資した第三セクター「秋田杉美林センター」の破綻をめぐる不正とカネの流れを、国から出向した女性副知事と浅見が追う。
第三セクターを皆がよってたかって食いモノにしていた。ミステリーとしてはちょっとヒネリに欠ける?
これは面白かった、傑作長編経済小説。スポニチの連載小説(1961年)の文庫版。
「赤いダイヤ」は小豆(先物取引)のこと。昭和29~33年にかけて、小豆は、産地北海道の冷害凶作により相場が高騰し、投機の対象となった。一攫千金を夢見て、「パチンコ店主」、「小唄の師匠さん」といった、にわか投機家まで現れる過熱ぶりだった。
小説は、大手買い筋である「森玄」こと森玄一郎と、相場の神様の異名をとる「松辰」こと松崎辰治の売り崩しという対決を軸に展開する。「ない品は高い」という信念を持ち、買い進める森玄と、「凶作に買いなし」を実践し、売りまくる松辰。
しかし戦いはフェアではなかった。松辰は売り大手であるとともに、穀物取引所の理事長をつとめていた。その職を利用し、証拠金の増額や、建て玉制限、北海道産小豆の代用小豆を認める臨時措置など、買い手に不利な条件を次々に提示する。森玄にとっては、単にカネのためでなく、そうした松辰を負かし、理事長から引き下ろすこと、そして凶作に苦しむ産地農家のために、相場を高騰させることが目的となっていった。
とはいえ、実は主人公は別にいて、戦後の復興期に蠢いていたブローカーの一人、木塚という若い男。彼は事業に失敗し、借金を抱え、自殺しかけたところを森玄に助けられる。そして「輸出振興外貨」なるカードのブローカーという、新手の事業を拡大していくが、彼本人も「赤いダイヤ」の魅惑に取り付かれていくのであった。カネ儲けには抜け目がなく図々しいが、変に純情・律儀なこの男が、小説全体にユーモアを与えている。
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古い本だが、ビジネスマン向けのエッセイ集。著者の心に残った、共感した経営者達の名言集。
私の場合、根が怠け者で、耳が痛いので、この手の本は滅多に手に取らない・・・。
一つ面白いエピソードが紹介されていた。本田宗一郎さんは、アユ釣りが好きで、東京目白の本田邸に客を招いてアユ釣りパーティーを開いた。なんと屋敷に人工渓流を作って、春先に3千尾の稚魚を放して育てたのを、当日客に釣って食べてもらおうという、粋な、ぜいたくな趣向だったそうだ。
しかし自然の河川のアユと比べると、どうしても一味落ちる。「洪水が無いからですよ。洪水は被害をもたらすけれど、一方で、川底や石などについていたもの、たまっていたものを洗い流す。それでまた川が生き返る。~いくら水が循環していても、ただ、きまったとおりに流れているというだけでは、だめなんだな」
-当然、これはアユの事を、言っただけではない。
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市井物。一見平穏に暮らす人々の心に起っては消える小さな波紋、微妙な気持ちの揺れをしみじみ描く連作長編。
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日本獣害史上最大の惨事で、2日間の間に6人(胎児を含め7人)の男女を殺害したヒグマを仕止めるまでを描いたドキュメンタリー小説。
本州に棲むツキノワグマと違って、北海道だけに棲むヒグマは、より肉食性が強く、人が襲われることが多いという。大正4年の12月に冬眠の時期を逸し、腹を減らしたヒグマが北海道手塩山麓の開拓村を襲った。凶暴なヒグマを相手に、警察が銃を持った救援隊を組織してもなす術をもたなかったが、区長は他村から招いた一猟師に集落の存亡を託す。
前の『高熱隧道』と、この『羆嵐』。「自然と人」というテーマを考えさせられた二冊だった。
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黒四ダムは有名だが、その下流の黒部第三発電所建設のためのトンネル工事を題材にした小説。
昭和11年に着工し、昭和15年に完工したこの工事は、岩盤温度165度という高熱地帯にトンネルを掘削する難工事であった。発破用のダイナマイトが自然発火した事故、厳冬期に宿舎を吹き飛ばしたホウ雪崩(新雪の中に圧縮された空気が、雪崩れることによって障害物に激突すると、その圧縮された空気が爆発し、爆風を発生させるもの。泡雪崩)などによって、犠牲者は300名を越えた。
事故の度に工事は中止されたが「国策として」再開された。これは記録文学であるとともに、極限状態のなかで、隧道技術者や人夫達のトンネル貫通への情熱、また、常に命の危険にさらされている人夫と、指揮をとる技術者との微妙な関係を描いており、読み応えがあった。
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